シルバーシート

ある日のことでございます。

女性専用車両のシルバーシートエリアに私はおりました。

すると…

「ここ携帯禁止エリアですよ〜〜。スマホやめてください〜〜。中学生高校生でもペースメーカーいれている人もいるんですよ。携帯やってると死んじゃいますよ〜。スマホやるなら長イスの方でして下さい〜。そこの入り口も禁止エリアですよ〜。やめてください〜〜。」

と言う声が聞こえてきました。

確かにそうですよね…。正しい…。

スマホ片手に入ってくる人も多いので、その方はその度に何度も何度もそのセリフを繰り返します。

しかも険しい顔でちょっとイラっとする言い方で。

正しいことを言っているのはわかるんですよね…でも何だか気持ちよくない…。なんでだろう…。

嫌われることを言いたい人なんているわけないですよね…それもわかるし、その方も何度も何度も疲れるだろうなと思いましたしね。そして無関心を装っている私って何だろうとも思いました。イザコザが起きなければいいなとそればかり…。

そんなことがあった翌日のこと。

飲みながらこんな話を聞きました。

子どもは怒ってはいけない、叱るものだ。

というのです。

怒るのには「怒り」があるけど、叱るのは「愛」がある。良くなって欲しいという愛があるというのです。

なるほどね〜。

電車の中の彼女は怒っていた、ルールを守らない私たちに。

だからか、誰一人注意された人からは「ごめんなさい」って言葉は聞かれなかった。無言で移動していった。

怒ると叱る…なんだか腑に落ちた…。

なるほどね〜。

そしてね吉野弘さんの詩を思い出しましたの。「祝婚歌」という詩のなかでこう言っています。

正しいことを言うときは少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは相手を傷つけやすいものだと気づいているほうがいい

とね。なるほどね〜。